補足:#4
確定申告(タックスリターン)とは、例えば年間の賃貸収入が10000ドルでした→管理費や旅費や修繕費や減価償却などの経費は8000ドルでした→だから残りは2000ドルです→その残りの2000ドルに税金が課せられ→最終的に投資家の皆様が払うべき税額が決定し→その税金を納めます、これが確定申告(タックスリターン)と呼ばれるものです。通常、1月1日以降6月15日までに行います(居住者の場合は4月15日となります。そこから10月15日まで申告の延長が可能です)。
そして、その算出された税金に対して既に源泉徴収や予定納税という形で米国連邦当局およびハワイ州当局に税金を納めていれば、差し引きをして、払い過ぎている分を返してもらうわけです。
還付金は指定の銀行口座に振り込まれる、もしくは、チェックが郵送されてきます。申告後、数週間から一月半程度で戻ります(下記で説明をする「米国納税者番号(ITIN)の申請」と同時に行う場合、還付金が戻るまでには数ヶ月かかります)。
ちなみに、賃貸収入から色々な経費を引いた結果がマイナス(赤字)になることが明らかな場合でも、確定申告(タックスリターン)は行わなければいけません(賃貸業を行っていない場合は不要です)。
【減価償却について】
ハワイに新築のコンドミニアムを購入したとします。購入当初はピカピカでとてもきれいです。しかし、1年経つと壁が少し汚れてきました。2年経つと床に傷がついてきました。3年経つと雨漏りがしてきました。4年経つと・・・ということで、言葉が悪いですが毎年コンドミニアムはボロくなっていきます。そのボロくなった分だけ毎年経費にしましょうというのが減価償却です。ここで、どれだけボロくなったかということを具体的に計ることは困難ですので、投資家の皆さんが購入されるような居住用の一軒家やコンドミニアムは、毎年同じだけボロくなって、さらに購入から27.5年が経つと完全にボロボロになって価値がなくなるというふうに考えます。これが減価償却のルールです。
具体的な数字で説明します。例えば275,000ドル(27,500,000円)でコンドミニアムを購入したとします。普通に考えると購入したその年に275,000ドルの経費をとりたいところですが、上述のとおりボロくなった分しか経費にできませんよというルールになっています。具体的には、27.5年で毎年同じだけボロくなるというふうに考えることになっていますので、275,000÷27.5=1年間にボロくなる金額、つまり、経費として認められる金額(10,000ドル)となります。これが減価償却の考え方です。
もっと正確に言えば、コンドミニアムを誰かに貸せば賃貸収入が入ってくる→それは誰かが部屋を使ったから→部屋を使うということは少しづつ部屋がいたんでくる→つまりボロくなる→27.5年使えば完全にボロボロになる→理論的には価値がゼロになる(ハワイはこの理論が通らないのですが・・・)ということで、収入が入る=ボロくなる、つまり、収入とそれに対する経費という関係が成り立つことになります。
逆に、誰にも貸さない場合、賃貸収入がない→誰も使わない→ボロくならない→価値は下がらないということになり、減価償却という経費は発生しなくなります(自分で使っている限りはボロくならないと考えます。つまり、人に貸して賃貸収入を得ない限りはボロくならない→経費が認められないということになります。経費というものは収入を得るために必要なものとう基本的な考え方があります)。
実際には土地に相当する部分は減価償却はされませんので(土地はボロくならないので、最後まで経費になりません)、建物部分のみが減価償却の対象となります。ハワイの場合、購入額のうち土地が1で建物が9くらいのイメージで結構かと思います。
ここではわかり易くするために新築を例として使いましたが、最初からボロい中古でも、ピカピカの新築でも同じルールが適用されます。
また、減価償却は物件を売却する時にも重要な影響を及ぼします。例えば、275,000ドルでコンドミニアムを購入したとします。既にご説明したとおり年々ボロくなっていき、27.5年で完全にボロボロになります。と同時に、理論上、年々価値が下がっていきます。
ここで、購入から10年経った時点で売却をするとします。この時点でどれだけボロくなっているかというと、10年分ボロくなっていることになります。具体的には1年当たり10,000ドルづつボロくなっている計算となりますので(275,000ドル÷27.5年)、10年で100,000ドル、つまり100,000ドル価値が下がったということになり、このコンドミニアムは175000ドルの価値しかなくなっているということになります(説明を簡単にするため土地を考慮していません)。
そして、このコンドミニアムを400,000ドルで売却するとします。理論上は175,000ドルの価値しかないのに、市場では400,000ドルでも欲しいという人がいるということです(これがハワイですね)。つまり、175,000ドルの価値しかないものを400,000ドルで売るわけですので225,000ドルの儲けが出るということになります。そしてこの儲けに対して税金が課されます(売却の流れについては補足5をご参照ください)。
話を戻します。
ここで1つ、投資家の皆様からよくお問合せいただくことがあります。それは「米国での賃貸収入は米国で申告をして税金を払わなければいけないということはわかりました。でも、私は日本に住んでいます。そうすると、その米国で稼いだ分というのは日本で申告しなくてもいいのですか?」ということです。
結論的には日本でも申告をする必要があります。米国でしたのと同じように、賃貸収入から色々な経費を引いて、そして残ったものに税金が課されて・・・という処理を行ないます(日本のルールに従って処理をしますので、米国と同じ結果にはなりません。特に日本では古い建物の償却年数が極端に短くなるため、ハワイで「古いのに価値がある建物(基本的にすべてそうです)」を購入すると、それを日本の申告書を作成する際に、わずか数年で償却をすることができるようになります。そうすると、日本では大赤字になる、つまり、課税所得を減らすことができる。そうすると結果として、その年度の税金を減らすことができるということになります)。
では、米国でも税金を払って、日本でも税金を払うのですか?ということですが、基本的にはその通りです。しかし、日本で申告をする際に、米国で払った税金を外国税控除という形で引くことができます。この点に関しては日本の税理士さんご確認いただければと思います。
以上が確定申告(タックスリターン)となります。
ここで、初回の確定申告(タックスリターン)をする際にもう1つ大切なことがあります。それが米国納税者番号を取得するということです。ITIN(Individual Tax Identification Number)と呼ばれるものです。
日本には同姓同名の方がたくさんいますので、何かしら個人を識別するものがないと、例えば2人の山田太郎さんが同時にアメリカで確定申告(タックスリターン)をした場合、どの山田太郎さんの申告なのか米国連邦当局では認識することができません。
通常この米国納税者番号(ITIN)は、初回の確定申告(タックスリターン)と一緒に申請を行います。「確定申告(タックスリターン)をするために必要だから番号をください!」という申請をするのです。この番号を得られるまでには2ヶ月ほどかかり、パスポートの原本を米国連邦当局に郵送したり、いくつかの英文の資料を提出したりと、かなり煩雑で面倒な手続きが必要となります。さらに、この米国納税者番号(ITIN)を管轄する部署はトラブルが多いことでも知られていますので、会計士など、専門家に依頼されることをお勧めいたします(Two Milesは、米国歳入庁から認可されたCertified Acceptance Agentであるため、パスポートの原本を米国連邦当局に郵送していただく必要なく米国納税者番号の取得をすることができます)。
注意:物件を売却(#5を参照ください)する前に必ず取得されることをお勧めいたします。例えば、確定申告を1度もしないうちに売却する(購入した年に売却する、または、ずっと賃貸業をせずに保有していたため確定申告をしたことがなかったなど)場合、米国納税者番号(ITIN)を取得する機会がないことになります。その場合は、確定申告とは別のタイミングで番号の取得を行う必要があります。
米国納税者番号(ITIN)がありませんと、物件の売却時に、誰のものかわからない状態で源泉徴収(上記ご参照ください)をされてしまうことになりますので、トラブルのもとになります。
※法人の場合、その形態によっても手続きが異なりますので(ITINではなくEINという番号を取得します)、詳しくはTwo Milesまでお問い合わせくださいませ。